倉敷から吉備路へ。晴れの国おかやま
晩秋から初冬にかけての岡山を2泊3日(11月29日~12月1日)の日程で訪ねた。中国地方は山沿いでは初霜や初雪の便りが届くが瀬戸内側は比較的に穏やかで温かいと言うが、倉敷や牛窓でも今年一番の冷え込みとなった。木枯らしが吹き始め、全国的にも冬の到来のようだ。岡山県には備中松山城を始め倉敷散策や大原美術館、吉備路、岡山後楽園、岡山城、備前焼のふる里や閑谷学校等観光名所も多く見どころ満載。紅葉も見頃となっていた場所もあり見納めの紅葉狩りとなった。
2013年11月29日(金)晴れ
大松山展望台
朝7時半過ぎに大松山展望台の駐車場に到着。気温は低い。朝方と日中の気温差が大きくなると濃い朝霧が出て、雲海に浮かぶ備中松山城が望めるという。急いで展望台まで行ったが、城の下部分に雲海があるものの「天空の城」には出会えなかった。
備中松山城
臥牛山頂上付近に建つ備中松山城は、鎌倉時代に有漢郷(現高梁市有漢町)の地頭秋庭重信が築いたものを起源とし、現存天守を持つ山城としては最も高い所にあるこぢんまりとした城である。臥牛山(がぎゅうさん)8合目のふいご峠駐車場に駐めて山道を登る。天守までの道はなかなか険しく、まさに山道といえる。
- 登城坂を登ると途中に中太鼓丸櫓跡がある
- 大手門右手にそびえる石垣群は、天然の岩盤の上に石垣を築き更に土塀を建てている見応えのある石垣
- 三の丸石垣群
- 三の丸から望む高梁市街地、右に高梁川
- 六の平櫓(左)再建された五の平櫓(中央)現存天守閣(右上)
- 五の平櫓と天守閣を望む
- 日本一高い場所に天守閣のある二層二階の山城
- 天守閣内部
備中松山城を見学後、高梁川上流へ立ち寄った。黄色い電車が走る場所。
紺屋川美観地区を散策。
高梁市
高梁川の両側には吉備高原が広がっている。ここ高梁市は備中の小京都と呼ばれいくつものお寺が並ぶ。お寺を眺めながら街中を散策。
遠州堂の柚餅子を購入。備中の国は昔から柚の産地で柚餅子は高梁を代表する伝統的お菓子、江戸時代からつくり伝えられ小堀遠州の考案と言われている。羽二重餅のような食感とユズの香りが美味しい和菓子である。
井笠鉄道記念館
続いて笠岡市にある鉄道保存展示施設を訪ねた。井笠鉄道本線の旧新山駅の駅舎をそのまま活用した施設で、廃線になった井笠鉄道で活躍した車両や鉄道資料が保存されている。廃線当時の駅長が個人で管理していたそうだが、現在は休館中のため中には入れず外からの見学のみ可能。
下津井
下津井へ移動。かつてこの地には下津井電鉄線(しもついでんてつせん)があり、茶屋町駅と下津井駅を結んでいた。下津井電鉄線1972年に廃線となり旧下津井駅の駅舎は撤去されたが、ホームといくつかの車両が残っている。現在は車両の保存にむけてボランティアの方が活動しているそうだが、旧下津井駅跡地はどこか荒涼とした感じで寂しい限り。車両も保存されているとはいえ、車庫の屋根は吹き飛び、かなり痛みも進んでいるようだ。
近くにある下津井港は古くから港町として繁栄し現在も漁業が盛んな地区だ。下津井沖で水揚げされるタコは「下津井ダコ」として全国的に有名で、秋から冬のタコは「寒ダコ」と呼ばれている。もっとも身が締まり旨味が凝縮されているので、下津井沖では11月になるとタコ漁が最盛期になる。タコの足を広げ寒風に晒す「干しダコ」は、下津井地域の冬の風物詩となっている。
鷲羽山
瀬戸大橋を見渡せる場所へ向かう。鷲羽山の頂上からは、瀬戸内海に点在する下津井の島々と島伝いに架かる瀬戸大橋を眺めることができる。
鷲羽山を後にして倉敷へ向かう。本日はパークサイドヴィラ倉敷に宿泊。倉敷市内のはずれ酒津公園に隣接する閑静な場所にあるホテルである。
2013年11月30日(土)晴れ
酒津公園
朝の散歩。四季折々の季節を通じて市民に親しまれている公園の紅葉が見頃であった。
倉敷美観地区
倉敷美観地区を歩く。本瓦葺塗屋造りの町屋や土蔵造りの蔵など、江戸時代後半以降の町並みが現在まで継承されている。明治以降建てられた洋風建築も幾つか見られるが倉敷川畔の柳並木と調和した景観は観光スポットとして多くの観光客が訪れる。
- 倉敷美観地区へ向かう
- 倉敷川畔から道一本隔てた古い町並み
- 倉敷川水面に映る白壁の町並みと柳並木
- 倉敷川畔沿い白壁の町並み
- くらしき川舟流し・天領丸の準備風景
- 倉敷川中橋から倉敷川今橋を眺める
- 1950年(昭和25年)江戸時代の土蔵作り米倉を改装して考古館として開館。側面壁の貼り瓦が見事
- 1917年(大正6年)に倉敷町役場として建てられた洋風木造建築
- 倉敷川右岸を中橋から今橋方面へ散策、路地の奧に古民家ゲストハウス有鄰庵
有隣荘の塀に沿って歩き観龍寺へ向かう。
大原美術館にて美術鑑賞。大原美術館は近現代美術中心のコレクションをもつ美術館で、西洋近代美術を代表するエル・グレコ、ピカソ、モネ、ゴーギャン、ルノワール、ルソー、マチス、セザンヌらの絵画を常設で鑑賞出来る場所である。本館、分館、工芸、東洋館をゆっくりまわると結構時間がかかるが倉敷散策には是非立ち寄りたい。
赤レンガと蔦が印象的な施設、倉敷アイビースクエアの中を散策。アイビースクエアはもともと倉敷紡績の工場で、赤レンガを覆う蔦は紡績工場であった頃に工場内部の温度調節の為に植えられたそうである。
GPSログ
出発時刻: | 8:27:26 |
到着時刻: | 11:40:32 |
合計時間: | 3時間13分06秒 |
合計距離: | -6138.99km |
最高標高: | 92.63m |
最低標高: | -85.07m |
平均速度: | -0.02km/h |
備中国分寺
吉備路は観光地として整備されているエリアで、田園地帯が広がっている。田畑の中に佇む備中国分寺は吉備路の観光スポット。遠くからも見える五重塔は高さ34.32mで県内唯一のもの。
吉備津神社
吉備津神社に立ち寄る。斜面に沿って一直線にのびている全長360mの廻廊は一見の価値あり、岡山では是非立ち寄りたい。廻廊の屋根の曲線美に圧倒される。
岡山後楽園
岡山後楽園へ移動する途中、駅前にある桃太郎像を見に岡山駅に立ち寄った。クリスマスのライトアップ(桃が割れたデザイン)が施されているので昼間は見にくくなっていた。
江戸時代を代表する日本の三名園の一つ、岡山後楽園を訪ねる。広い芝生地や池、築山などゆっくりと散策を楽しめる回遊式庭園である。
- 奧には馬場と観騎亭がある
- タンチョウを飼育している
- 白砂と青松が美しい砂利島(じゃりじま)
- 廉池軒(れんちけん)
- 唯心山から眺める沢の池
- 唯心山(ゆいしんざん)の紅葉
- 曲水に板を渡した八橋(やつはし)
- 左に見える建物は流店(りゅうてん)
- 花交の池(かこうのいけ)
GPSログ
出発時刻: | 14:48:06 |
到着時刻: | 16:07:51 |
合計時間: | 1時間19分45秒 |
合計距離: | -6132.54km |
最高標高: | 20.99m |
最低標高: | -18.6m |
平均速度: | -0.02km/h |
岡山城
後楽園南門から外へ出て、旭川に架かる月見橋を渡り岡山城へ向かう。豊臣時代を伝える数少ない城で、天守閣の壁に黒漆塗りの下見板を取付けるこの時代の特徴から外観が黒く、後に「烏城」とも呼ばれている。1945年(昭和20年)空襲で焼失したが、1966年(昭和41年)に再建された。
- 城の背後を流れる旭川を外堀に活用
- 黒漆塗りの下見板を取付けた壁で外観が黒く見える
- 城門(廊下門)は天守閣と同時の再建
- 宇喜多秀家が岡山城の象徴に建築した三層六階建ての望楼形天守閣
- 岡山市マンホール 桃太郎のデザイン
牛窓
東と南を瀬戸内海に面し「日本のエーゲ海」と称している町、牛窓に移動。「ペンションくまごろう」に宿泊。
2013年12月1日(日)晴れ
牛窓オリーブ園
牛窓は香川県小豆島と並び日本二大オリーブの産地と言われている。地中海沿岸の気候にも似た温暖な瀬戸内海式気候がオリーブの栽培に向いているらしい。斜面には見渡す限りオリーブの木が広がり、独特の風景となっている。山頂付近からは瀬戸内海を見渡せるポイントがあるが、晴れてはいるものの靄がかかったような感じであった。
- 備前方面
- オリーブ園を散策
- オリーブパレス5階の展望台から
- オリーブの小道を歩く
- 古代ローマの神殿を連想させる6本の石柱
- ローマの丘よりオリーブパレスを望む
- 佐竹徳画伯が牛窓オリーブ園でアトリエとして使っていた清風亭・通称 赤屋根
- オリーブパレス売店でオリーブオイルとオリーブの浅漬を購入
- 瀬戸内市うしまどマンホール ヨットとオリーブのデザイン
GPSログ
出発時刻: | 9:01:35 |
到着時刻: | 9:46:10 |
合計時間: | 0時間44分35秒 |
合計距離: | -6113.47km |
最高標高: | 181.02m |
最低標高: | 125.5m |
平均速度: | -0.02km/h |
瀬戸内海を眺めようと道の駅・一本松展望園に立ち寄る。冬から春にかけて咲くもう桜・サンバガワフユザクラ(三波川冬桜)が咲いていた。ミニ鉄道公園ではミニSLが走っている。
備前おさふね 刀剣の里
長船町は鎌倉時代から日本刀の一大産地で刀鍛冶の本場として栄えた。日本刀は明治政府の廃刀令以後に武器としての役目を終えたが、現在も美術品としてその価値は高い。刀剣博物館では日本刀の成り立ちや制作過程を学ぶことが出来る。また併設された鍛刀場では玉鋼から不純物を取り除く鍛錬の作業が公開されている。
備前焼のふる里
伊部駅前にある岡山県備前陶芸美術館にて、古備前から現代に至る備前焼の作品や人間国宝の作家による作品等を鑑賞。うわぐすりをかけないでじっくり焼き締める無釉焼き締めは、土と炎によって生み出される素朴な焼き物で、手づくりのぬくもりを感じさせる。たっぷりと水を含んだ備前焼は何とも言えぬ趣がある。町の彼方此方に焼き物が配されているが雨の日に見てみたいと思ったほどだ。
伊部駅から北へ散策、旧山陽道の通りには作家や窯元の店が立ち並ぶ。その奧まった場所には史跡天保窯があり、その更に奧には室町時代から江戸時代にかけて備前焼の同業者が共同で使用した大規模な窯の一つ、伊部北大窯跡がある。
旧閑谷学校
旧閑谷学校へ移動。わが国最初の庶民のための学校、旧閑谷学校は備前市の山間に佇む。紅葉もまだ見頃と言うことで訪ねた。備前焼瓦で覆われた建造物やそれを取り囲む石塀も閑谷学校の構造物は殆どが国宝や重要文化財に指定されている。
- 山間に佇む旧閑谷学校
- 閑谷学校校門
- 閑谷学校校門
- 聖廟の正門として建てられたもので「詩経」の詩に因んで鶴鳴門ともよばれる
- 講堂と小斎
- 外廻りを広縁でとりまいている
- 講堂内を見学
- 学校全体を取り囲んでいる石塀(幅約1.9m、高さ約2m)上部がノミでかまぼこ型に仕上げてある
- 閑谷学校資料館
- 教科書・参考書をおさめた書庫
- 聖廟に登る石段の左右には一対の楷の木があり11月初旬頃には見事な紅葉が見られる
- 儒学の始祖孔子を祀っている
- 閑谷学校の創設者・岡山藩主池田光政を祀るために(1686年)建てられた
高速道SA
閑谷学校を後にして山陽自動車道から帰路についた。