青に染まるアジサイ坂と蔵の街・栃木
「蔵の街」として発展した北関東の商都・栃木を歩く。太平山神社ではアジサイが見頃を迎え、多くの人々で賑わっていた。川沿いをぶらりと歩けば、古の町並みがなんとも懐かしげな雰囲気である。
2008年6月27日(金)晴れ
栃木駅に降り立ち、まずは太平山神社へ向かうバスを待つ。バスに揺られることおよそ15分で山間の國學院(大平)に到着した。
あじさい坂
バス停から太平山神社へと続く道端には早くもアジサイが群生している。太平山神社の表参道は1,000段に及ぶ石段で、やや健脚向きとも言えるが、多くのアジサイが咲く「あじさい坂」はぜひ一度訪れておきたい。道沿いには2,500株のアジサイが咲きそろうといい、この日も多くの人々が花を愛でているようだった。付近には「太平山グリーンパーク アジサイ園」もあり、まさにアジサイ三昧である。
石段の先にある太平山神社
あじさい坂の緩やかな石段を登り切ると、ここから太平山神社までは急な石段が続く。朱色の随神門は、徳川八代将軍吉宗公によって享保8年(1723)に建てられたものだそうで、仁王像が配されている。さらに石段を登れば本殿があり、主祭神・瓊瓊杵命(ににぎのみこと)、天照皇大御神(あまてらすおおみかみ)、豊受姫大神(とようけひめのおおかみ)が祀られているという。本殿の前には「茅の輪」という輪があり、宗教的には、くぐりながら8の字に回って「無病息災」・「家内安全」を祈るらしい。
本殿から展望台へと歩いていくと、左手に細い山道があり、「奥宮へ」と書かれている。この山道は晃石山への登山口でもあるが、少しばかり歩けば景色が見えるというので、期待を胸に足を延ばすことに。山道を歩いていくと、にわかに右手の視界が開け、栃木市街が一望できる場所に着く。少し靄がかかっているものの他に遮るものはなく、景色は文句なしだ。
市街
再びバスに乗り幸来橋で下車。ここからは町並み散策をしてみたい。幸来橋がかかるのは巴波川(うずまがわ)で、橋のすぐ脇には塚田歴史伝説館がある。かつて木材回漕問屋だった塚田歴史伝説館には、三味線を弾くロボットなどが展示されているそうだ。巴波川沿いをしばらく歩く。川沿いには、横山郷土館をはじめとして蔵屋敷などが建ち並び、その様子は舟運で栄えた当時を思わせる風景だ。さらに大正期の洋風建築・栃木市役所別館(旧栃木町役場庁舎)がまた、ノスタルジアな雰囲気を強めている。
蔵の街大通りへ
少々歩いたところで、休憩も兼ねてとちぎ蔵の街美術館を訪ねた。3棟の立派な黒い土蔵は「善野家(ぜんのけ)土蔵(通称 おたすけ蔵)」と言い、大通り側から東蔵、中蔵、西蔵の順に並んでいる。栃木市に現存する蔵造りの中でも最古の土蔵群だそうだが、2003年3月に改修されており、保存状態は良い。この日は「掌中の陶芸 現代水滴の世界展」を(6月3日から7月21日まで)開催中で、現代水滴のコレクションを拝見した。続いて栃木市郷土参考館に足を運ぶ。かつて質商を営んでいた坂倉家の建物だそうで、土蔵と母屋では歴史資料や民俗資料などを見学できる。職人の技術が垣間見える鬼瓦や、郷土品の数々、また下野国庁跡で発掘された道具などが展示されていた。
大通りへ出ると、裏通りとは打って変わって人通りも多く賑やかである。大通りの東側にある蔵の街観光館に立ち寄った。この建物もまた土蔵群で、現在は観光拠点として活用されている。