秋田なまはげと津軽竜飛崎
秋田県の男鹿半島と青森県の津軽半島をぐるりと回った。男鹿を代表するなまはげ文化に触れ、さらに日本海を見ながら海岸線を北上する。津軽半島の北端・竜飛崎に到達。竜飛崎からは北海道・函館の大地を眺めることができた。
2012年10月6日(土)晴れ
南磯地区
早朝のうちに男鹿線の終着駅・男鹿駅に着いた。男鹿駅のある船川から西側、ゴジラ岩や五社堂がある門前までが男鹿半島南磯地区である。駅舎は10月1日にリニューアルしたばかり。すぐ近くには国家石油備蓄基地があり、巨大なタンクが並んでいる。
海岸絶景ラインを進むと、日本の渚100選にも選ばれた鵜ノ崎海岸が見えてくる。よく見れば海岸から100mほど先の海の中に、立って釣りをしている人がいる。不思議な光景に見えるのだが、実は鵜ノ崎海岸は遠浅の海で、海岸から海の中を歩いて行けるのである。
しばらく海岸沿いに進むと、大きな一枚岩の帆掛島が見えてくる。しかし、そのすぐそばにあるはずのゴジラ岩を探してみても、なかなか見つからない。さらに進んでみると、ようやくゴジラ岩の案内があり、海岸線に降りる道があった。釣り人の車が何台か駐まっていた。潮瀬崎を海岸の方へ少し歩いたところで辺りを見回すとゴジラ岩らしき岩を発見。少々わかりにくい。
続いて門前へ。男鹿半島らしいなまはげ立像がお出迎えだ。ここのなまはげ像は一つだけだが、手をかざして睨みをきかせている姿は、男鹿・門前地区のシンボルとなっている。
なまはげ像を見送り、続いて五棟の社殿が並ぶという赤神神社五社堂に行ってみた。江戸時代の中頃に建てられたと言われる。祀られているのは5匹(両親と子供3匹)のなまはげだ。
西海岸地区
男鹿半島めぐりに欠かせないのが西海岸の絶壁からのぞむ荒磯と日本海だ。おが潮風街道から、日本海の荒波が巨大な岩を浸食して出来た巨岩・奇岩が並ぶ磯場を望むことができる。海上遊覧船からはまた違う醍醐味があると言われているが今回は時間の都合上、道路から眺めるのみとした。
入道崎
男鹿半島の西北端、北緯40度線上にある入道崎に到着。やはりすごく風が強い。白黒の縞模様の入道埼灯台は「日本の灯台50選」に選ばれており、灯台資料展示室が併設されている。
なまはげ館
入道崎から北へ回り、なまはげ館に到着。なまはげ行事は男鹿半島全域で今なお続く民俗行事で、男鹿の代名詞とも言える。なまはげ館のある真山は、なまはげ発祥の地として信仰の対象とされてきたそうで、秋田杉が生い茂り雰囲気も充分だ。伝承ホールのスクリーンでは、なまはげ行事を紹介する映画「なまはげの一夜」を上映していたので鑑賞した。なまはげは年に一度、大晦日の晩に各家庭を巡る。なまはげ独自のしきたりがあり、家に上がってすぐに7回、お膳に着く前に5回、立ち上がる際に3回四股(しこ)を踏むのだという。荒荒しい奇声を上げながら畳を強く踏みしめ歩き回り「怠け者はいねが、泣く子はいねが」と練り歩く。なお伝承館ではこのなまはげ習俗を実際に体験できる。
寒風山
なまはげラインから寒風山を目指す。展望台からは八郎潟干拓地である大潟村を一望できる。途中でババヘラのパラソルを見るたびに「秋田に来た」と実感する。
なまはげ案内所~能代~八森
早朝はうす暗かったので、もう一度なまはげ立像を見に男鹿総合観光案内所(なまはげ案内所)に立ち寄ることにした。高さが15mある巨大なまはげ像を見上げると、やはり大きい。
能代から日本海を北上、八森岩館海岸は岩礁の海岸で変化に富み、八森名物のハタハタ漁が行われる。
十二湖
青森県に入り、白神山地西部のブナ林に囲まれた33の湖沼群落の一つ、青池を訪れた。青いインクを流したような色と言われている。青池の駐車場では午前中かなり雨が降ったようで濡れていたが、散策時には雨に降られることもなかった。青池から程近くには日本キャニオンと呼ばれる断崖もある。
奇岩が連なる景勝地
引き続き海岸線を北上する。森山海岸には波の浸食によって空いた穴「ガンガラ穴」があるのだが、これは海上からしか眺められないようだ。夏休みの期間中は周辺の民宿が案内する船で探勝できるようだが、船着き乗り場は閉まっていた。船着き場の正面には象岩がある。不老ふ死温泉の案内を見ながら、さらに海岸線を行く。
五能線
深浦駅からほど近い場所では海岸沿いを走る五能線が見える。ほとんど列車の往来がないのだが、少し待つと列車がやってきた。
五能線・驫木駅
海岸線沿いの無人駅・驫木駅に立ち寄った。驫木(とどろき)は日本の駅名で最も画数が多く、JRのトクトクきっぷ「青春18きっぷ」の宣伝ポスター(2002年春期)に登場し、多くの鉄道ファンが集まる駅でもあるらしい。時期的に人がいないせいか…何故かしみじみとした風情が感じられる。やがて列車の走る音とともに、遠くからランプ光が近づいてきた。快速リゾートしらかみが静寂した駅のホームを一瞬風と共に走り去っていく。そして何事もなかったようにひっそりとした駅が佇んでいた。
千畳敷海岸
200年前の地震で海岸が隆起したもので、夕陽の名所として「日本の夕陽百選」に選ばれている。天気はあいにくの曇り空、今回は諦めて宿に向かうことにした。
鰺ヶ沢
日が落ちてから鰺ヶ沢に到着、本日は石岡旅館に宿泊。
2012年10月7日(日)晴れ
朝の散歩
朝の鰺ヶ沢港を散歩。港はしんと静まりかえり、釣り糸を垂れる姿をちらほらと見かけた。
焼イカ通り
鰺ケ沢町を国道101号で海岸線沿いを進むとイカの生干しをする風景が見られ焼イカ通りと言われている。これはイカのカーテンとも呼ばれ、鰺ケ沢の夏の風物詩となっている。店舗が軒を並べる中でも特に知られるのが、きくや商店。映画主演も果たした有名犬「わさお」がいるというので一目見ようと思い立ち寄ってみる。早朝(8時少し前)のため、まだ自宅にいると聞き残念であった。店内には「わさおグッズ」が所狭しと並んでいる。
亀ヶ岡遺跡
海岸沿いの道から少し内陸へ入ると一面に広がる津軽平野の田園風景、稲刈りが終わり稲藁が規則正しく並んでいた。遮光器土偶の出土で知られる亀ヶ岡遺跡縄文館を見学した。現在、遮光器土偶(重要文化財)は東京国立博物館所蔵となっている。また土器などが発掘された遺跡は埋め戻されて公園になっている。
十三湖
日本海に面した汽水湖、十三湖に到着。シジミ産地として知られ、近くの道の駅・十三湖高原でも特産物として売られていた。中の島があって渡ることもできる。
権現崎
権現崎の先端に続く道は崩落のため通行止め。この先にはキャニオンハウスというお店と灯台がある。
道の駅こどまり
道の駅こどまりを過ぎると、道は海岸線に沿ったワインディングロードになり、ライダーが走り抜ける。
萱部
竜飛ラインの途中にある坂本台からは素晴らしい海岸線を眺めることが出来る。海岸へ降りる遊歩道もあるがかなり急勾配、戻ることを考えると…眺めるだけにしておく。
眺瞰台
さらに進むと眺瞰台がある。この日は天気が良く函館も岩木山もよく見える。展望台からの眺めはまさに360°の大パノラマ。
風の岬 竜飛
津軽半島北端の竜飛崎に到着。津軽海峡冬景色の歌碑があり、観光客がボタンを押すと大音量で曲が流れる。すぐそばには、国道でありながらも日本で唯一の階段道路があり、こちらも名物になっている。
漁港を散歩してから同じ階段国道を戻った。その後は階段村道から龍飛埼灯台へと向かった。
青函トンネル記念館
竜飛崎は青函トンネルの基地としても知られる。道の駅みんまやにある青函トンネル記念館に立ち寄り、体験坑道を見学することにした。
体験坑道は地下にあるため、坑道を見学するためには竜飛斜坑線に乗る必要がある。まず乗車予約をして待ち時間があったので、屋外展示を見に行った。風雪にさらされ風化してボロボロとなり、青函トンネル工事からの年月を感じる。
乗車時間になり、竜飛斜坑線・モグラ号に乗って地下へ。わずか8分で海面下140メートル、竜飛海底駅へ到着した。
せっかくなので青函トンネルを走る列車も見てみたい。ただしトンネル内を走る列車は通常見ることができないためトンネルの出口へ行くことにした。青函トンネルの本州側出口は竜飛から少し南の今別にあり、列車の往来も見られる。旅客列車としては通常の特急列車と寝台列車が通過するが、貨物列車の通過も多い。列車の接近は音でわかるものの、津軽海峡線の列車は速度が速く(最高速度140km/h)、あっという間に通過する。
黒石温泉郷
黒石温泉郷にある板留温泉に宿泊。温泉の湯は無色透明。
2012年10月8日(月)晴れ
浪岡
今日も天気が良い。黒石温泉から浪岡に移動。かなたには岩木山が見える。道の駅浪岡に立ち寄り、特産のリンゴを購入。
道の駅浪岡あっぷるらんどに立ち寄る。リンゴや洋ナシなどが豊富。
芦野公園駅
前日は時間も遅く、脇を通りながら立ち寄れなかったので芦野公園に行くことにした。毎年ゴールデンウィークに開催される「桜まつり」には沢山の人出で賑わうと言われている。気楽にさっと行かれる距離ではないが、桜のトンネルを走る津軽線を是非見てみたいと思う。
斜陽館
金木町にある斜陽館は太宰治の父による豪邸であったが、戦後は旅館となり現在は太宰治記念館になっている。和洋折衷・入母屋造りの建物は国の重要文化財に指定されている。
五所川原駅
津軽鉄道沿いに南下し、五所川原駅に立ち寄る。五所川原駅にはJR線と津軽鉄道線が乗り入れている。五所川原駅で旅のスタンプGET!東北パスポートの津軽半島ゾーン・旅のサロンである。
木造駅
五能線の木造駅は、駅舎全体が遮光器土偶のデザインになっているユニークな駅である。発着列車はそれほど多くない。
弘前
続いて弘前へ。弘前駅には東北パスポートの弘前ゾーン・旅のサロンがあるので旅のスタンプをGET!
大湯温泉
弘前から南下して大湯温泉へ。大湯温泉から十和田湖方面へ向かう道(国道103号線)沿いに小根津戸の雄滝がある。入口には小さな看板があり、国道から横道に入り徒歩10分位で雄滝に着いた。落差44m、木々に囲まれてひっそりとした滝である。その後、前回宿泊した大湯温泉にある、荒瀬共同浴場で立ち寄り湯。一息ついて帰路についた。