秋色の葛根田渓谷と錦秋湖を巡る
十月も半ばを過ぎると陸奥(みちのく)の秋も日に日に深まりを見せる。そんな秋に触れたくて、岩手県の紅葉の名所として名高い葛根田渓谷と錦秋湖を訪ねた。天気には恵まれなかったが、紅葉を愛で、温泉を満喫することが出来た。
2017年10月21日(土)曇り
農産物直売所
秋を迎えると毎年のように東北地方に出かけ、地元の農産物を購入することにしている。今年も岩手県の滝沢にある農産物直売所で新鮮なりんごや野菜を購入することが出来た。
小岩井農場
春の開花時期には多くの観光客で賑わう小岩井農場の一本桜も、この時期になると訪れる人は殆どいないようだ。いつもなら一本桜の背景となる岩手山も曇り空に隠れて姿を見せてくれなかった。小岩井農場の近くで蕎麦店「しんざん」を見つけて少し早い昼食にした。
葛根田渓谷
葛根田渓谷は岩手山南麓を流れる葛根田川の上流部にあり、玄武洞から滝ノ上温泉まで約10kmの渓谷である。ブナの原生林をはじめ多様な広葉樹が広がり、新緑や紅葉が特に美しい。
玄武洞
玄武洞は葛根田の大岩屋とも呼ばれ、1943(昭和18)年には国の天然記念物に指定されている景勝地である。溶岩によって形成された玄武岩による高さ80m・幅200mの垂直な岩壁で、見事な柱状節理の景観であったが、洞窟部分が1997(平成11)年の崩落によって消滅してしまい以前のような迫力のある姿は見られない。
鳥越の滝
葛根田渓谷を更に奥へ進み、滝ノ上トンネルを抜けると鳥越の滝が現れる。落差30メートル、垂直の岩肌を流れ落ちる滝は迫力がある。滝の上部には秘湯中の秘湯と言われる滝ノ上温泉がある。
紅葉
葛根田渓谷は丁度紅葉の見ごろを迎えていた。
ブナを中心とした広葉樹の紅葉は派手さはないが、渓谷のあちこちから立ち上る蒸気と相まって、独特の景観を見せている。
地熱発電所
葛根田地熱発電所は東北電力が管理運営する発電所で、葛根田地区の豊富な地下熱を利用し1978(昭和53)年に出力5万kwの1号機が発電を開始している。現在は出力3万kwの2号機と合わせて8万kwの発電を行っている。
黒滝
黒滝は葛根田川と黒滝沢との合流地点にある滝で、高さは25mである。
舟原の紅葉
葛根田渓谷から盛岡方面に向かう途中に「舟原(ふなら)」と呼ばれる紅葉 の名所がある。雫石川に注ぐ支流のひとつ竜川の対岸に連なる低い山々は、紅葉の時期にはいっせいに赤や朱色、黄色に美しく染まるそうであるが、まだ少し早いようだ。
花巻台温泉
花巻温泉郷の台温泉は600年前に開湯され、台川沿いに10数軒の温泉宿が建つ鄙びた温泉街である。今回も源泉かけ流しの湯が楽しめる吉野家旅館に宿泊した。
2017年10月22日(日)雨のち曇
花巻市に「母ちゃんハウスだぁすこ」というユニークな名の大型直売所がある。丁度秋の収穫イベントを開催していたので果物やお茶などを購入した。
錦秋湖
錦秋湖は北上川の支流・和賀川の上流に造られた、東西17.5kmの湯田ダム湖である。秋になると、周囲の山々が錦のように美しい紅葉を見せることから「錦秋湖」の名が付けられた。
道の駅錦秋湖
湖畔にある道の駅錦秋湖では、わらび、みず、ふき、ぜんまい等の山菜や、西和賀町の物産品が売られている。ここでは山菜とそばを購入した。
北上線
北上線は、岩手県の北上駅と秋田県の横手駅を結ぶJR東日本の鉄道路線である。錦秋湖は、湖と赤い鉄橋を俯瞰する雄大な景色が望めることから、北上線の紅葉絶景ポイントとして有名である。
JR北上線ほっとゆだ駅は、木造の駅舎で温泉と売店が併設されている。温泉のある駅舎は全国でも珍しい。温泉は源泉かけ流しで、大浴場には信号機があり、青・黄・赤の色で列車が近づいたことを知らせてくれる。