秋の京都御所公開と京町小路散歩
京都、奈良を訪れました。紅葉狩りにはまだ早いですが、奈良薬師寺での晋山式を皮切りに、京都御所の見学や京町散策など、用事を兼ねての4泊5日(11月6日から10日まで)の日程でした。
2009年11月6日(金)晴れ
神護寺のライトアップ
京都に到着したのは15時頃。少し時間に余裕があったので高雄山 神護寺へ足を運びました。階段が多いと聞いていましたし、夜道なので足下に注意して一段一段石段を踏みしめます。神護寺は、最澄(伝教大師)や空海(弘法大師)にはじまる平安仏教発祥の地とされる寺で、数度の焼失に見舞われながらも再興され現在に至っています。夜の境内はライトアップされ、昼間とはまた異なる美しい紅葉の姿が印象的でした。
2009年11月7日(土)晴れ
薬師寺
早朝、京都を出発し奈良 薬師寺へ向かいます。薬師寺では、約110年ぶりとなる東塔の解体修理の準備が始まっており、修復完了まで10年程度かかるとのこと。また境内にある宝蔵殿では国宝「吉祥天女画像」が特別に公開されています。本や切手などでお目にかかることも多い、その姿を拝見してきました。
この日は、8月に就任した山田法胤管主の晋山式(就任披露)が催される日でありまして、(晋山式の招待状を頂き)大講堂前には3000人を超える参列者が集まっていました。
京町散策
京都へと戻り、町を散策します。京都駅から地下鉄烏丸線の烏丸御池駅で降り、三条通から麩屋町通りに入ります。麩屋町通りには歴史ある旅館が軒を連ねており、京の風情を色濃く残しています。その一角にある小料理屋「菜の花」を尋ねました。こぢんまりとした、おばんざい料理のお店です。今回は簡単なセットメニューをお願いしまして、気軽におばんざい料理を楽しめました。食事を済ませたところで、寺町通から三条通を歩きホテルへと帰ります。
2009年11月8日(日)晴れ
京都御所、一般公開
一般公開されている京都御所を訪れました。公開は11月1日から10日まで。特に天皇陛下御即位20年という節目でもあり、普段はお目にかかれない皇后宮常御殿(つねごてん)も公開されています。京都御所は、1869年の東京遷都に至るまで500年余にわたり天皇の住居(皇居)として用いられ、建築様式をはじめとして平安時代以降の文化を受け継ぐ場所の一つです。再建・造替のたびに拡張され、築地塀で囲まれた面積は11万平方メートル、また築地塀は南北447m、東西は南辺で250m、北辺で236mという大きさです。
参内
いよいよ宣秋門から築地塀の中へと入ります。御所には、平安時代を彷彿とさせる荘厳な造りの建物が多く、かの『源氏物語』の舞台を見ているかのような錯覚に陥ってしまいます。御車寄(おくるまよせ)は、昇殿を許された者が参内する際に使われる玄関です。正式に参内した者の控えの間。襖の絵にちなみ、最も格の高い「虎の間」(岸岱筆)から順に、「鶴の間」(狩野永岳筆)と「桜の間」(原在照筆)があります。
五節舞および雅楽を行うための五節舞姫(ごせちのまいひめ)舞楽台は、大正4年(1915)大正天皇の即位礼に際し建てられたものです。
大臣宿所には帽額(もこう)が置かれています。また納殿には威儀物(いぎもの)太刀、弓、胡(やな)ぐい、桙、楯が、議所には鉦(しょう)、鼓(こ)が置かれています。
紫宸殿
やがて寝殿造りの紫宸殿(ししんでん)が見えてきます。紫宸殿は、内裏の南部分にある第1御殿で、即位礼などの重要な儀式を執り行うもっとも格式の高い正殿です。数度の焼失に見舞われており、現存する建物は安政度(1855)造営のもので、中央には天皇の御座である髙御座(たかみくら)、その東には皇后の御座である御帳台(みちょうだい)が置かれています。南側には白砂の南庭(だんてい)が広がり左右にそれぞれ桜と橘があります。儀式の際、桜の近くには左近衛が、橘の近くには右近衛が陣をしいたことから、「左近の桜」「右近の橘」と呼ばれています。
回遊式庭園
清涼殿を後にすると、回遊式庭園が見えてきます。池や橋などが配置され、園路を巡りながら四季を感じられる庭園です。奥には茶室があります。
御常御殿
御常御殿は天皇の住まいとして使用された御殿で、内部は15室からなる入母屋桧皮葺の書院造りです。また今回特別に一般公開された皇后宮常御殿は、女御、皇后の住まいとして使用された御殿で、内部は13室からなる入母屋桧皮葺の書院造りです。源氏物語の冒頭にある「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり」という光景が、ふと目に浮かびます。
御所の最も北側に位置する朔平門は、桧皮葺の門で、女御入内(じゅだい)の儀式の際に用いられました。南の建礼門と対峙しています。
蹴鞠
蹴鞠保存会による蹴鞠(けまり)を見学しました。蹴鞠というのは、革沓(かわぐつ)で、鞠を懸りの木の下枝より高く蹴上げ続け、鞠を地面に落とさないようにするというものです。
阿闍梨餅
京都御所見学の後は同志社前から百万遍までバスに乗り、安政三年(1856年)創業の満月本店に立ち寄ります。ここは「阿闍梨餅」で知られる老舗。阿闍梨餅はしっとりとした皮で餡を包みこんだ半生菓子で、甘さは控えめ。お茶とともに阿闍梨餅をいただきました。
石塀小路
清水周辺を散策するため、一旦京都駅に戻った後、再び京都駅から地下鉄烏丸線と祇園方面バスを乗り継ぎます。東山安井で下車して東大路通から下河原町通へ入り、食事処や喫茶などが軒を連ねる通りをのんびりと歩きます。
この界隈から高台寺通へと抜ける石塀小路は、京都らしい雰囲気が味わえるスポットの一つです。 石畳の敷き詰められた小路を歩けば、両側に並ぶ料亭や旅館の石垣がまるで石塀のように見えます。 石塀小路の入口はなかなか見つけにくく、また小路も右に左にと折れているので、ちょっとした迷路のようです。 ちなみに石畳の一部は1970年代に廃止された京都市電(路面電車)の敷石を移設したものだそうで、伝統的建造物群保存地区として昔の風情をしっかりと残しています。
二寧坂と八坂の塔
高台寺を後に二寧坂、八坂通、産寧坂を歩きます。坂道の両側にはぎっしりと土産物屋さんが並び、何処へ行っても大勢の人で賑わっています。
祇園・先斗町へ
東山安井から再びバスに乗り東山三条で下車、東山駅から三条京阪までは地下鉄を使います。三条大橋を渡り先斗町通へ向かいます。
この日は先斗町の京懐石料理 ふじ田を訪ねました。京都らしさ満喫のお食事で、お店の雰囲気も良く、またご縁があれば足を運びたいですね。
2009年11月9日(月)晴れ
不審菴と今日庵
表千家 不審菴を訪ねます。表千家は千利休を開祖とする茶道流派の一つで、裏千家、武者小路千家とともに三千家として知られています。
大徳寺 高桐院
堀川今出川から大徳寺前までバスに乗ります。大徳寺境内を抜けて今宮神社までのんびりと歩きます。
大徳寺は千利休・小堀遠州らとも縁が深い禅寺です。この大徳寺埠頭寺院の一つで一般参詣も可能な高桐院を訪ねました。高桐院は利休七哲の一人細川忠興 (ほそかわただおき) (三斎)の創建です。参道の紅葉が有名ですが、今回は残念ながら色付く一歩手前でした。
今宮神社
今宮神社では七五三のお祝いに来ていた家族を見かけました。毎年4月第2日曜日に行われるやすらい祭(民俗無形文化財)は、京都三大奇祭の一つに数えられているそうです。今宮神社の東門前には名物あぶり餅のお店「かざりや」と「一和(一文字屋和助)」の二軒が向かい合っており、前を通るとあぶり餅の香りが気になります。
姉小路通
バスで北大路バスターミナルに出て、北大路駅から烏丸御池まで地下鉄に乗ります。姉小路通では、和三盆の干菓子で知られる御菓子司亀末廣と、柚味噌の八百三に立ち寄ります。二軒とも町屋の風情が残っており、店内が石畳になっていてヒンヤリとします。
八百三は柚味噌のみを扱う老舗。一子相伝の製法によって作られる柚味噌には定評があります。ふろふき大根やゆがいた生麩やこんにゃく、豆腐などに付けると、その美味しさは他に類を見ないくらいです。
三条通界隈を歩く
江戸時代から交通の要所として栄えた三条通は、時代の流れとともにファッションストリートになりましたが、同時に京都を代表する建築物が集中する近代建築ストリートでもあります。 通りに立ち並ぶレンガ造りの建物は今なお現役です。三条寺町から室町は京都市指定の歴史的景観地区に指定されています。
柳桜園茶舗
烏丸御池駅から京都に戻り一息した後、地下鉄 烏丸御池駅で降ります。御池通を市役所方面に向かって歩き、柳桜園茶舗と亀屋良永に立ち寄ります。柳桜園は宇治茶、殊に抹茶専門で、三千家ご用達の店でもあります。
京ゆば
烏丸御池駅から地下鉄に乗り、国際会館駅で下車します。宝ヶ池 ゆば泉を訪ねます。湯葉は京都を代表する食材の一つですが、ゆば泉ではフレンチスタイルでアレンジしています。
2009年11月10日(火)曇り
表千家 北山会館
表千家 北山会館へ向かうため、京都駅から地下鉄 北山駅で下車します。北山会館では特別展「千家十職 大西清右衛門家の釜と金工 ~茶の湯工芸の伝統と創造~」を見てきました。
北山駅から地下鉄烏丸線に乗り、四条烏丸駅下車します。錦市場に立ち寄り、再び四条烏丸駅から烏丸丸太町駅まで地下鉄で移動します。