今再び、ときめきの奈良大和路
奈良の平城京へ遷都した710年から、もうすぐ1300年が経とうとしている。奈良といえば修学旅行で訪れる方も多いと思うが、観光地としては京都に比べて地味な存在なのかもしれない。とはいえ794年に平安京(京都)へ遷都するまで、古く飛鳥時代に聖徳太子が活躍した時も都は奈良の地にあった。日本が国として発展するところの原点だとも言えよう。今回は「奈良再発見」の旅である。
2007年2月11日(日)晴れ
東京駅から東海道新幹線に乗り、約2時間40分で京都に到着。天気良く、車窓からは富士山の綺麗な姿を目に焼き付けた。
興福寺
近鉄奈良駅や商店街から程近い場所にあるのが興福寺なのだが、五重塔が観光ポスターなどに使われていることもあり、広く知られている寺である。元来は藤原氏の氏寺であり、その権力ゆえに非常に強大な勢力を持つに至ったのだが、明治維新以後に行われた神仏分離政策の影響により弱体化してしまったのだそうだ。
東金堂には日光・月光菩薩立像などの諸仏、また隣接する国宝館には著名な阿修羅像をはじめとして、東金堂の本尊像台座内から見つかった銅造仏頭などが安置されている。
かきまぜ奈良うどん
猿沢の池に程近い、「ふく徳」でこぶきざみうどんをいただく。器の底の方に鰹節が入っているので、それをかきまぜてから食べるのだ。麺はもちろん奈良うどんなので、讃岐うどんほどのコシがあるわけではない。
奈良国立博物館
奈良公園にある奈良国立博物館では、2月10日から3月18日まで、特別陳列「お水取り」を開催しており、東大寺二月堂で行われる修二会(お水取り)の際に使用される法具などが展示されている。ちなみに修二会は天平時代から中断することなく続く由緒ある法会で、今年は1256回目なのだとか。
東大寺
冬を象徴する行事でもある修二会(お水取り)が行われる東大寺。しかしそれとは全く関係なく、観光客が押し寄せている様子。特に南大門から大仏殿にかけては、静寂とは無縁の場所である。
戒壇院
少し離れた場所に位置する戒壇院は人も少なく静かである。戒壇院というのは受戒が行われる神聖な場所なのだそうだ。堂内に安置された持国天、廣目天、多聞天、増長天という四天王像の姿はまさに迫力満点と言えよう。
金堂
聖武天皇が命じた盧舎那仏造立においては、8回に及ぶ鋳込み作業が行われた。
二月堂・三月堂
法華堂(三月堂)は、正式な名称を羂索堂といい、三月堂の呼称は三月に行われた法華会に由来する。
春日大社
珈琲豆専門店
奈良公園をぐるりと周ったからか、やや足が疲れ気味なのでコーヒーを飲んで一服することにした。羅漢の店内には様々な種類のコーヒー豆が並んでいるので、その日の気分に合わせて豆の種類を選ぶという楽しみ方も。
釜めし
知人から教わったお店「志津香」で、釜めしをいただく。奈良界隈で釜飯がいただける店がどれくらいあるのかわからないが、ここ志津香は夕刻頃にやや混み合っていた。
2007年2月12日(月)晴れ
近鉄奈良駅から1km程度離れた場所にあるJR奈良駅は、ターミナル駅ではあるものの、それほど大きな駅ではない。高架化工事に伴い旧駅舎を取り壊すことになっていたが、市民運動などが行われたこともあり保存が決定した。
JR奈良駅からJR桜井線と近鉄大阪線を利用し、長谷寺駅に到着した。長谷寺駅に停車する列車は原則として準急・普通のみであるため利用客は僅かである。
長谷寺
初瀬山の山腹に位置する長谷寺は「花の御寺」の名の通り、春には牡丹が素晴らしい名所である。今の時期はまだ桜は少し早いものの、間もなく満開を迎えるのだろう。
長谷路
長谷寺から戻る途中、「長谷路」で山菜そばをいただく。町屋風のお店は庭が美しいだけでなく、建物も歴史を感じさせる造りである。
長谷寺駅から室生口大野駅まで、近鉄電車を利用。室生口大野から室生寺までバスに乗ろうと思ったが、あまり本数もないので、景色を眺めながら次のバス停まで歩くことにした。
大野寺
室生寺へ向かう途中で立ち寄ったのが大野寺。宇陀川のほとりに構える静かな寺である。対岸の岸壁には磨崖仏が刻まれ、巨大な弥勒仏が姿を現している。また境内には枝垂桜があり、見事な花を咲かせるという。
室生寺
室生寺は山間部に位置していることから、山の斜面に合わせた伽藍配置となり、自然の造形が生かされている。また元禄期以降は、高野山に対置し「女人高野」とも呼ばれるようになった。
最初の石段を登ったところにあるのが金堂である。金堂に安置された釈迦如来像は、殊に光背の色彩が今なお鮮やかであるということは驚きである。
ならまち散策
「ねっとわーく ぎゃらりー ならっぷ」で生地を、郷土玩具の店「瑜伽」で申の置物を購入した。
庚申堂
鬼無里
食事処「鬼無里」で夕食。一見すると居酒屋のようだが、しっかりした食事が楽しめる店である。器の種類が豊富で、店主の食に対するこだわりが感じられる。
奈良ロイヤルホテル
本日は奈良ロイヤルホテルに宿泊。
2006年2月13日(火)晴れ
明日香
高松塚古墳とともによく知られた石舞台古墳は、巨大な岩で造られた横穴式の石室を持つ古墳である。古墳時代後期に造られた墓だが、かつて古墳の上部に盛られていた土は残っておらず、岩がむきだしの状態である。
にゅうめん
三輪素麺茶屋千寿亭で温かなにゅうめんをいただく。ちゅるちゅる。夏のそうめんとはまた違った味わい。
法隆寺
飛鳥時代を代表する寺であると同時に、現存する世界最古の木造建築でもある法隆寺。1993年には日本で最初の世界文化遺産となり、名実共に日本を代表する寺院の一つである。670年に火災で焼失したものの、直後に再建された建物が当時のまま現在に至っている。中国南北朝時代の影響を受けた技法が建物の随所に見られるほか、金堂の釈迦三尊像は北魏の様式を受け継ぐものだそうである。
中門と回廊に使われている柱は、中央部が太く、上下部が細くなっている。
中宮寺
国宝に関しては、国立博物館に寄託されているものが多い。
秋篠寺
西大寺
西大寺は、かつて東大寺と並び称されたほどの勢力を誇った寺だがその後衰退し、今では比較的落ち着いた場所になっている。大和西大寺が近く、アクセスも便利である。
2006年2月14日(水)曇りのち雨
ならまち
駅前から続く長いアーケードを抜けた先がならまちである。細い路地の先に、また細い路地が続くのもならまちの特徴。町並みは江戸時代から明治時代にかけてのものが保存されており、木造で、格子窓のある町家が立ち並ぶ。そのどれもが現役だという点にも注目である。 そして懐かしげなお店に立ち寄るのもまた一つの楽しみで、ふらりと覗いたお店で思わぬ発見をすることも。ならまち界隈の町家の軒先には、お守りとして身代わり猿が吊されている。
観光客にとってはうれしい町並みなのだが、現代生活ではやや不便なところもあるようだ。
ならまち 格子の家
町家の雰囲気を体感できるのが、ならまち格子の家。出入り自由なので、市民の憩いの場にもなっているそう。
御菓子司なかにし
アーケードを抜けた先で見つけたのが、大正5年創業という和菓子処「御菓子司なかにし」。二月堂のお水取りに合わせた南無観椿など季節感あふれる菓子も豊富だ。彩りも美しい寒椿が気に入った。
吉田蚊帳
蚊帳の製造販売元。日本ではあまり目にしなくなったが、蚊帳はエコロジーかつ安価な防蚊手段として、特に海外では高く評価されつつある。ここでは蚊帳生地を使った「ならまちふきん」を購入。
奈良を後にし帰路につく道中、京都の錦市場に立ち寄った。
錦市場
京都の台所として知られる錦市場は全長400メートルほどの長い商店街。京都独特の雰囲気が漂う場所でもあるが、一見さんお断りというわけではないので、ソロソロと入ってみた。価格は高めではあるが品揃を考えれば仕方ないところ。最近では食事処も多い。佃煮を数点購入。
京野菜 かね松
やお屋の二かいというところで昼食をいただく。文字通り、八百屋の二階にある店。長寿ランチセットは、野菜のかき揚げや葉牛蒡ご飯などで、野菜が中心のヘルシーな献立である。