輪島漆器と永平寺と木曽駒ケ岳
輪島塗の産地として知られる能登半島、そして金沢の兼六園を巡る。続いて曹洞宗の大本山、永平寺を訪ねる。木曽駒ヶ岳(宝剣岳)へのハイキングも。
2002年7月31日(水)晴れ
輪島
関越自動車道、上信越自動車道、北陸自動車道を乗り継ぎ能登半島を目指すのだけれど、やはり東京からの道のりは長く、約500km。
伝統工芸「輪島塗」で有名な輪島市は、能登半島の先端に位置している。かつては輪島まで鉄道(のと鉄道七尾線)が通じていたが、2001年に廃止された。旧輪島駅は道の駅として活躍中である。
石川県輪島漆芸美術館
輪島市の一角にある、石川県輪島漆芸美術館に立ち寄った。ここでは、輪島塗の産地ならではの漆器作品が多数展示されているほか、輪島塗の歴史や特徴なども紹介されている。特別展では「うるしの抒情詩 沈金・三谷吾一の世界」(7月4日から9月2日まで)を開催中。三谷吾一氏の60年に亘る作家活動を振り返る作品群に見入った。そしてすばらしい漆芸品を見た後は、しばし休憩。窓の外には、漆の木が植えられた「漆の里広場」が見える。
和倉温泉
移動時間が長かったこともあって、日が暮れるまでの時間は短い。輪島までの道を引き返し、今日の宿がある和倉温泉を目指す。和倉温泉は1000年以上の歴史があるといい、能登の名湯として人々に親しまれている。本日は宿守屋寿苑に宿泊。
2002年8月1日(木)
和倉温泉を後にして金沢へ向かう。金沢の中心部はさすがに交通量が多い。NHKの大河ドラマ「利家とまつ」の舞台ということもあり、観光客も多いのだろうか。
兼六園
兼六園。桂坂口から園内に入る。名物の灯篭を横目に虹橋を渡ると、右手には霞が池が広がる。さらに兼六園内にある石川県立伝統産業工芸館を見学。石川県の伝統工芸全般を網羅した展示で、工芸品についての知識を深めてみたい。兼六園を出た後は近くにある観光物産館に入った。おみやげに菓匠まつ井の「友禅ころも」と「友禅流し」を購入。伝統工芸をイメージした和菓子が多いようだ。
東尋坊
湖畔の温泉
片山津温泉。本日の宿は片山津温泉 佳水郷。全客室が柴山潟に面した造りで、かなり眺めがよい。夜には、柴山潟で行われる花火を部屋から見ることができた。なお、片山津温泉では「屋形船で湯めぐり」をすることもできるので、色々な旅館のお風呂を見てみたいという人には最適。
2002年8月2日(金)雨
朝から激しい雨だ。天気の回復を願いつつ、永平寺に向かった。途中、越前手漉和紙「石甚」で便箋セットを購入。ここでは和紙を漉く体験もできるとのこと。
曹洞宗の大本山、永平寺
雨が降り続く中、永平寺を拝観する。永平寺は寛元2年(1244)年、道元禅師によって創設された曹洞宗の寺院で、横浜鶴見にある總持寺とともに曹洞宗の大本山として多くの人々が訪れる。そして今も昔も変わらず、修行僧たちが厳格な修行を行っている道場でもある。
建物としては七堂伽藍と呼ばれるものを中心に、数多くの伽藍が配置されており、それらが回廊のようなもので結ばれている。鎌倉中期以降、急斜面を切り開いて建立されたものだそうだ。静寂に包まれた回廊を歩いていると、やはり「聖域に足を踏み入れた」と感じるものである。
永平寺を出た後、駐車場の近くの店で蕎麦を食べる。永平寺有料道路を抜けて、東海北陸自動車道を使い、中津川へと向かう。
宿泊は南木曽温泉郷「ホテル木曽路」。南木曾温泉の周辺には寝覚ノ床や妻籠宿、馬籠塾などといった見所も多く、思いのほかゆっくりできる場所だ。夕食も、なかなか満足できる和食コースだった。
2002年8月3日(土)晴れのち雨
木曽駒ヶ岳
中央自動車道を利用し、駒ヶ根へ。いよいよ、木曽駒ケ岳を登るのだ。
まずは菅の台まで車で行き、そこで専用のバスに乗り換え。菅の台から先は一般車の乗り入れが制限されているからである。バスは、くねくねとした細い山道を快調に登ってゆく。環境面からも安全面からも、やはり一般車の乗り入れは制限するのが適切だと思う。約40分で、ロープウェイ乗り場である「しらび平駅」に着いた。ところがこのロープウェイ、人が多いので1時間30分待ちだった。しばらくの辛抱だ。その間、しらび平駅のそばにある遊歩道を歩いてみることに。全長約900mという遊歩道は、確かに待ち時間を活用するには最適かもしれない。そうこうしているうちに、ようやくロープウェイに乗ることができた。しらび台駅から千畳敷駅までの所要時間は8分ほど。
あっという間に千畳敷駅に到着。千畳敷駅の標高は2,611.5mで、日本最高なのだそう。目の前には大きな千畳敷カールが広がっている、はずなのだが霧で何も見えない。その先に続く岩場を登ったところで、宝剣岳(標高2927m)の山頂に到着。でも山頂付近にも霧がかかっていて、景色はほとんど見えない。
下る途中、ほんの一時だけ霧が晴れて千畳敷カール全体の風景が見えた。