山岳リゾート上高地と乗鞍岳雲上トレッキング
中部山岳国立公園の南部に位置する上高地をトレッキング。四季を通してたくさんの人で賑わう。奥飛騨温泉郷の宿のいで湯で疲れを癒し、翌日は乗鞍岳を訪れ最高峰の剣ケ峰に登頂した。
2016年8月10日(水)晴れ
上高地
2016年から8月11日が「山の日」に制定され、その第一回記念式典が上高地で開催された。訪れたのは式典の前日だったが、皇太子殿下をお迎えしてのセレモニーだけに、スタッフが慌ただしく準備をしていた。上高地は飛騨山脈南部の梓川上流にある景勝地で、どこを撮っても絵になる風景に出会う。いくつかの自然散策路があるが大正池~河童橋~穂高奥宮~徳沢、少し足を延ばして新村橋までのトレッキングとなった。
大正池
沢渡駐車場から シャトルバスに乗り上高地へ向かう。バス停・大正池で下車すると直ぐに大正池が見えてくる。焼岳の噴火により大正4年(1915年)梓川がせき止められてできた池である。また大正池といえば立ち枯れた木が有名だが、その数はだいぶ減っていた。早朝の大正池は朝もやがかかり幻想的であるが、陽の光を受け赤く染まる焼岳が映る光景もまた神秘的といえる。
田代池・田代湿原
田代池へ到着。大正池と共に焼岳(標高2455m)の噴火により流れ出た溶岩が梓川左岸の支流である千丈沢をせき止めたことでできた浅い池であり、周囲は湿原になっている。北アルプスの六百山(標高2470m)や霞沢岳(標高2646m)からの伏流水が湧き出ており水の透明度がとても高い。
梓川コース
自然散策路は林間コースと梓川コースに分かれる分岐がある。今回は梓川の流れと焼岳を眺めながら進む梓川コースを歩き田代橋へ向かう。
田代橋を渡り梓川右岸を進む。
程なく上高地ルミエスタホテルが見えてくる。ホテルの横には日本アルプスを世界に紹介したイギリス人宣教師ウォルター・ウェストンの栄誉を称えたレリーフ「ウェストン碑」がある。時折キツツキの木をつつく音が聞こえる。
川岸から振り返ると焼岳がよく見える。
河童橋
周辺には多くのホテルやレストラン、売店が並び最も賑わう定番エリアで、梓川の清流と雄大な穂高連峰を眺める絶景スポットである。吊り橋が最初に架けられたのは1910年、現在は1997年にかけられた5代目の橋である。
梓川左岸コース
河童橋を過ぎて、今度は川を左に見ながら梓川左岸道を明神方面に向かう。清水川を渡ると小梨平キャンプ場があり周辺にはヤチトリカブト、サラシナショウマ、カニコウモリなどが咲いていた。
明神までの梓川左岸道は川から離れた林道で、ゆるやかな坂があるがほぼ平坦で歩きやすい道である。所要時間は約1時間。
穂高奥宮
明神の分岐には穂高奥宮参道の案内がある。明神橋を渡り進むと鳥居が見えてくる。奥宮を参拝して明神へ戻った。
明神から徳沢へ
明神を出発して林道から川沿いを進む。川岸からは明神岳や穂高連峰がよく見える。
1時間ほどで徳沢に到着。上高地の奥座敷といわれる徳沢には広々としたキャンプ場があり、色とりどりのテントが並んでいた。余裕があれば徳澤園でコーヒーなどを楽しむのも良さそう。
新村橋
今回は新村橋まで足を延ばすことにした。徳沢から横尾方面に15~20分ほど歩くと左手に見えてくる吊り橋が新村橋である。橋の脇から河原に下りられるのでゆっくりと山景色を楽しみたい。
明神を経由して梓川右岸コース
新村橋から折り返し徳沢を通り明神まで戻った。
再び明神橋を渡り河童橋まで、往路とは別の梓川右岸コースを進む。木道が整備されているので歩きやすい。
岳沢湿原
針葉樹林の中の木道を進んでくると、立ち枯れの木々や静かに湧水が流れる神秘的な場所にたどり着く。日が差すと透き通る水面は青さが増し、キラキラと輝きいっそう綺麗に見えるという。
再び河童橋まで戻ってきた。
河童橋を後にしてバスターミナルへ向かい沢渡駐車場へ戻った。
奥飛騨温泉郷
標高3000m級の山々に囲まれた奥飛騨温泉郷は平湯・福地・新平湯・栃尾・新穂高を総称した源泉かけ流しの温泉地である。新平湯温泉にある素朴な宿「いちだ」に宿泊した。
いで湯まつり夏
その夜、神明神社の境内では新平湯温泉夏の風物詩「いで湯まつり夏」が開催されていたので、食後の散歩に出かけた。賑やかなお祭りで鶏芸・牡丹獅子・宝太鼓を鑑賞した。
鶏芸は頭の上にシャガマという黒い羽の冠(雄鶏の羽根)をかぶり、鳳凰や龍の模様が描かれた衣装を身にまとい鉦(しょうは金属製の打楽器の一種)を打ち鳴らしながら踊る伝統芸能で、岐阜県の重要無形民俗文化財に指定されている。
朝食には自家米「ゆきむすび」と近くで作っている有精卵「奥飛騨美人」の「卵かけご飯」を食す。どちらも宿の自慢の食である。
2016年8月11日(木)晴れ
乗鞍
宿を出発してほおのき平駐車場に向かう。ほおのき平バスターミナルからシャトルバスで乗鞍スカイラインを走り乗鞍畳平へ向かった。なお岐阜県側の乗鞍スカイラインおよび長野県側の乗鞍エコーラインでは現在マイカー規制を実施しているため一般車は通行できない。バスの所要時間はおよそ1時間である。バス終点の乗鞍畳平は標高2702mの地点にあるので、畳平から最高峰の剣ヶ峰(標高3026m)への登山も比較的容易である。ただ容易とは言え3000m級の登山には違いないので相応の自覚は必要である。
お花畑
畳平駐車場の南側に広がるお花畑は高山植物の宝庫である。木道の散策道が整備されているのでのんびり歩いても30~40分で一周できる。
剣ヶ峰
お花畑を一周してから乗鞍岳への登山道へ戻る。なだらかな坂道を登っていく。
- 登山道から眺めるお花畑と乗鞍バスターミナル
- 不消ヶ池(きえずがいけ)
- コマクサ
- ガレ場に咲くコマクサ
- 北アルプス方面を望む
- トウヤクリンドウ
- 先ほどの不消ヶ池(きえずがいけ)が遠くに見える
- 正面には乗鞍岳剣ヶ峰(3026m)/蚕玉岳(2979m)/朝日岳(2975m)
- 前方左側に剣ヶ峰
- 今年の大雪渓は雪が少ない
- 前方に東大宇宙研究所
- 乗鞍岳までの最後の宿泊所、肩ノ小屋
- 東大宇宙研究所が見える
- 剣ヶ峰口案内
- 前方は朝日岳、登山道にイワギキョウ
肩ノ小屋を過ぎると本格的な登り坂になり、ぐんぐん高度を上げていく。
- 肩ノ小屋と東大宇宙研究所
- 北アルプス方面を望む
- 権現池
- 登山道を登る人
- 肩の小屋と東大宇宙研究所
- 蚕玉岳(こだまだけ 標高2979m)
- 正面に見えている山頂まであと30分
- 振り返れば大日岳(3006m)/屛風岳(2968m)
頂上小屋から剣ヶ峰までは残り僅かである。
下山
これより乗鞍バスターミナルまで戻る。
帰路
乗鞍からの帰り道、国道158号線沿いにある一見普通の民家のようで見過ごしそうなお蕎麦屋さん「手打ち蕎麦 わたなべ」に寄る。そばを注文すると漬物をサービスしてくれて、なんだかのんびり出来る店である。蕎麦のお味は喉ごし良く香しく・・・満足であった。
- 自家製漬物/稲核菜(いねこきな)稲核菜のかぶ、きゅうり、お浸しを摘みながら蕎麦を待つ
- 喉ごしの良い香しいお蕎麦
- 手打ち蕎麦 わたなべ
- 松本市(旧安曇村)の上高地と梓川、河童橋を眺めるカッパをデザインしたマンホール
- 直営店はやし屋はスイカが豊富
- 姨捨SA