津軽富士見湖と五所川原立佞武多の館
青森県鶴田町の津軽富士見湖には日本一長い木造三連太鼓橋「鶴の舞橋」が架けられている。湖に映る雄大な津軽富士と美しい鶴の舞橋の姿が見られることから津軽富士見湖は一躍人気の観光地になった。今回は津軽富士見湖と五所川原の「立佞武多の館」を訪ね、津軽の自然と文化に触れることにした。
2016年10月22日(土)晴れ
道の駅
東北自動車道を青森方面に向かって走行中、盛岡のあたりから前方に岩手山の姿が見えてきた。早朝の岩手山を眺めようと最寄りの滝沢ICを出る。眺望の良い地点を探して一般道を少し走ると正面に岩手山が見える場所に出た。山肌には朝日が当たり始めているが、まだ薄暗く寒い。
西根まで行き道の駅にしねに立ち寄った後、東北道に戻って次の目的地である道の駅なみおかに向かう。道の駅なみおか(愛称アップルヒル)の農産物直売所には地元産の農産物が並んでいる。特に浪岡産のりんごやりんご加工品は品質も良く安価に購入できるため人気商品となっている。
津軽富士見湖
浪岡から鶴田町にある津軽富士見湖に移動する。津軽富士見湖は岩木山を水源とする自然流水の貯水池で、青森県下最大の人造湖である。堤長は延長4.2 kmで日本最大の長さである。湖の正式名称は廻堰大溜池(まわりぜきおおためいけ)であるが、津軽富士とも呼ばれる名峰岩木山の見晴らしが良いため、古くから「津軽富士見湖」の愛称で親しまれている。
湖には「鶴の舞橋」と名付けられた優美な姿の橋が架けられている。総青森ヒバで造られた全長300mの橋で、木造の三連太鼓橋としては日本一の長さである。湖に映る岩木山の姿も相まって、JR東日本のCM撮影地にも選ばれている。
湖畔の丹頂鶴自然公園では丹頂鶴が飼育されている。
のへ丼
五所川原市に移動し立佞武多の館(たちねぷたのやかた)を訪ねる。立佞武多の館の隣が魚介類を扱う生鮮市場になっているので、施設内の「市場中食堂」で名物の「のへ丼」を注文した。のへ丼は市場で売られている刺身や海老、ホタテなどをお好みで丼に盛られたご飯の上にのせて食べるもので「のせ丼」が転じて「のへ丼」になったようである。
立佞武多の館
立佞武多の館は五所川原立佞武多の常設展示・保管及び展示ギャラリーにおける美術展示を目的として建てられたものである。津軽地方に伝わる夏祭りの中でも「たちねぷた」と呼ばれる巨大なねぷたが見られるようになったのは明治時代以降のことで、大きな山車になると高さ23m、重量19トンにも達するそうである。大正時代になると町中に電線が張り巡らされたため、大きなねぷたは衰退してしまったが、1998年に「五所川原立佞武多祭」として復活した。このように明かりを灯した巨大な灯籠(=ねぷた)を山車に乗せて練り歩く華やかな夏祭りは青森県各地で行われており、中でも「五所川原立佞武多祭り」「青森ねぶた」「弘前ねぷた」が青森三大ねぶたとして知られている。
立佞武多
立佞武多展示室に入場すると、エレベーターで4階まで上がるよう誘導される。展示室は中央部分が吹き抜けの空間になっており、来場者は立佞武多や展示を見ながら建物の壁沿いにらせん状に造られたスロープを下り1階のフロアーまで戻ることになる。照明を落とした展示空間には明かりを灯した立佞武多が数基置かれており、間近に見るとその大きさと迫力に驚かされる。立佞武多は毎年一基新しいものが制作されるそうで、ここに展示されている立佞武多は「五所川原立佞武多祭り」で実際に使われたものである。
青森県各地で行われる「ねぶた」の説明図と有名な青森三大ねぶた「青森ねぶた」「弘前ねぷた」「五所川原立佞武多」の小型模型が展示されている。
巨大なスクリーンには「五所川原立佞武多祭り」の様子が映し出され、勇壮な祭りの雰囲気があじわえる。
1階のフロアーに降り、祭り参加者と同じ目線で立佞武多を見上げると、一層迫力を感じる。
森山海岸
五所川原から深浦町の森山海岸に向かう。このあたりは津軽国定公園の一部で、近くには十二湖や不老不死温泉などの有名観光地がある。森山海岸は奇岩の続く海岸線に沿って五能線が走っており、撮影ポイントにもなっている。また、象岩やガンガラ穴などの観光スポットがある。
象岩
森山海岸には「象岩」と呼ばれる変わった形の岩がある。その名の通り鼻を伸ばした象の顔に似ている。近くには「ガンガラ穴」という場所もあるが、残念ながら海上からしか見えないようだ。象岩の前に「賽の河原」の案内があり、遊歩道のような道を少し歩いてガンガラ穴のある岩場に登ると、あちこちに石積をした場所に出る。ここが賽の河原である。
五能線
岩場の先端に展望のよい場所があり、見下ろすと入江の向こうに五能線の短いトンネルが見える。五能線の普通列車と快速リゾートしらかみ「くまげら」がトンネルを通過していった。
嶽温泉
深浦町から宿泊先の嶽温泉に向かう。10月末ともなると日暮れが早く、宿に着いた時にはすっかり暗くなっていた。小島旅館の風呂に浸かり旅の疲れを癒した。
2016年10月23日(日)曇りのち晴れ
嶽温泉を後にして弘前方面に向かう。途中眺める岩木山麓の景色も秋の深まりを感じる。弘前周辺のりんご畑は丁度りんごの収穫時期で、道路脇には無人の販売所が点在している。
五能線
弘前には岩木山を望むりんご畑が広がっている。その中を縫うように五能線の列車が走っており、りんごの花が咲く春やりんごが色づく秋には車窓からも目を楽しませてくれる。
大湯温泉
弘前から秋田県の大湯温泉に向かう。大湯温泉の近くには大湯川とその支流に大小いくつもの滝があり、滝巡りが出来る。今回は「小根津戸の雄滝」(おねづとのおたき落差44m)と「止滝」(とまりたき落差8m)を訪ねた。
滝めぐりの後、大湯温泉の「荒瀬共同浴場」で汗を流した。大湯温泉には4ヶ所の共同浴場があるが、荒瀬共同浴場は大湯川の川岸にある地元の人用の鄙びた共同浴場だ。なにも標識がなく路地の奧にあるので初めての人にはわかりづらい。お湯は澄んだ食塩泉で湯温はかなり熱い。帰路、亘理の味ざんまいで夕食をとり帰宅した。